東京にNATOの事務所開設が検討されていると話題になっています。
NATOとは1949年に設立された軍事同盟です。
しかし日本はNATOに加盟していません、なぜ東京に事務所を作るのでしょうか?
簡単にNATOとは?を説明し、日本との関係と問題点を1分で解説します。
【簡単】NATOとは?日本との関係

NATOとは北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization)の略です。
そもそもNATOはソビエトに対抗するために作られた北大西洋の軍事同盟でした。
第二次世界大戦後、政治・経済・社会体制の違いから、世界は「東側」と「西側」に分断されました。
「東側」=社会主義諸国=旧ソビエト
「西側」=資本主義諸国=欧米が中心
そして東側と西側は価値観の違いから激しく対立します。
危機感を覚えた両側は軍事同盟を結成します。
「東側」=ワルシャワ条約機構
「西側」=NATO
軍事同盟を作ったことで武力衝突が避けられ「冷戦=冷たい戦争」が続きました。
NATOの本来の目的は「集団防衛」でした。
加盟国が攻撃されたら全てのNATO同盟国への攻撃とみなし、同盟国全体で援助します。
これを「集団的自衛権」と呼びますが、行使されることはありませんでした。
なぜなら1991年に旧ソビエトが崩壊し、「東側」のワルシャワ条約機構が解体されたためです。
しかしNATOはそのまま存続して今に至ります。
NATOの加盟国

旧ソビエトの崩壊後、東側のワルシャワ条約機構の同盟国だった「ポーランド」「チェコスロヴァキア」「ハンガリー」がNATOへ加入。
東側の社会主義から資本主義への転換した国は多く、その理由は「お金」と「自由」です。
社会主義では経済が回らず、資本主義で儲けて国を豊かにするのが第一の目的。
民主主義で自由を手に入れて、自国の発展を目指すことが使命となりました。
日本がNATOに加盟できない理由

日本はNATOに正式加盟していません、現在はパートナー国という位置づけです。
NATOのパートナー国は世界に9ヶ国あります。
日本がNATOに加盟できない理由は「憲法」です。
日本の憲法9条は「交戦権否認」といって、他国との戦争を禁止しています。
NATOでは加盟国が攻撃された場合、加盟国全体で援助します。
しかし日本は外国での戦争参加は憲法上できない決まりになっています。
日本が攻撃された場合、NATO加盟国は援助してくれますが、他の加盟国が攻撃されても日本は援助することができません。
簡単に言うと、日本は攻撃されたらNATOに助けてもらえるけれど、他国が戦争になった場合に日本は支援できない、ということです。
そのためNATOの加入はできずに、パートナー国となっているのです。
日本がNATOに加入する問題点

日本がNATOに加入するには次の2つの問題点があります。
・憲法の改正が必要となる
・日本が戦争に巻き込まれる可能性
NATO加入には憲法改正が必須
まず日本がNATOに加入する場合、憲法を改憲することが必要となります。
今のままでは法律上、NATOへ加入はできないからです。
平和憲法とされる日本国憲法第9条では、戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認が明記されているのです。
それでは「改憲して日本も外国で戦争できるようにすればいいじゃないか」という意見もあります。
忘れてはいけないのは「海外で戦争する=日本も攻撃される」ということです。
日本は法律で自衛するための武器の保持と武力行使は認められています。
他国が攻めてきたら自国を守る、それが自衛隊です。
しかし自衛隊は他の国は攻撃しないことを憲法で定めています。
これは「戦争の抑止力」となり、日本は憲法9条に守られているとも言えるのです。
NATO加入で日本が戦争に巻き込まれる可能性
憲法を改憲してNATOに加入したとします。
自衛隊が加盟国を援助するために海外で戦争に参加。
敵国は当然日本も攻撃対象をするでしょう。
「日本がNATOに加入=日本も攻撃対象となる」これを忘れてはいけません。
自分達だけ守ってもらって、加入国が攻撃された時には知らんぷりはできない、ということです。
日本にNATOの事務所を作る3つの理由

2023年5月10日アメリカのワシントンDCで冨田浩司駐米大使が記者会見を行いました。
北大西洋条約機構(NATO)が日本に連絡事務所を開設する方向で検討を進めていると明らかにした。
なぜ加盟国でない日本にNATOの事務所を作るのか?
日本とNATOの安全保障協力を深めるのが目的とされています。
NATOが日本に事務所を作る理由は次の2つだと思います。
1.ロシアと中国を近くで監視したい。
2.日本をNATOに加盟させるため。
3.他のアジアの国も加入させ拡大したい。
1.ロシアと中国を近くで監視したい
ロシアとウクライナの戦争で、中国はロシアの味方です。
ヨーロッパからロシアは監視できても、中国は遠すぎます。
そのため中国の近くの東京に事務所を開設し、監視することが目的だと思われます。
日本はすでにアメリカ軍基地があり、東京にNATOの事務所を置くのは好都合なわけです。
2.日本をNATOに加盟させるため
2022年6月にスペインのマドリッドで行われたNATO首脳会合。
日本の岸田首相がNATOのストルテンベルグ事務局長と会談しました。
法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守るため、サイバーや宇宙などを含む安全保障分野での協力を強化していく方針で一致したと報告されています。
また岸田総理大臣は、NATOに独立した日本政府の代表部を新たに設置する方針とともに、NATOの理事会などに定期的に参加することを検討している、と伝えたそうです。
2018年7月1日、すでにベルギーのブリュッセルにNATOの日本政府代表部が開設されています。
日本政府としてはNATOに加入する気満々なわけです。
しかし憲法9条があるために加盟できない。
東京にNATOの事務所を作り、加盟をスムーズにする目的があるのではないでしょうか?
3.他のアジアの国も加入させ拡大したい
NATOは北大西洋の国々がメインの加入国です。
アジアで加入している国はありません。
NATOは日本を足掛かりに、アジアの国々の加入を促すつもりではないでしょうか?
【超簡単】NATOとは?日本の関係まとめ
NATOとは?を超簡単に説明しました!
最後にこれだけ覚えれば大丈夫です♪
・NATOとは北大西洋の軍事同盟
・日本はパートナー国
・NATO加入には憲法改正が必要
日本がNATOに加入するには慎重な議論が必要です。
すでに「日本が戦争に巻き込まれるのでは?」と危惧する人たちも大勢います。
平和憲法とされる日本国憲法第9条では、「戦争放棄」「戦力不保持」「交戦権否認」を明記。
憲法9条は日本を縛るだけでなく、国民を守っているということを覚えておきたいですね。

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